以前と同じ治療を受けたい
以前受けた治療と同じ様にやって欲しい。
良く伺うお話です。
状況により、可能とも不可能とも。となります。
お口の中の状態次第です。
きちんとした診断でお口の中の状態を患者さんご自身に充分把握して頂く事が最も大切です。
お口の中の状態がどういった状況なのか?
野澤歯科医院では、現在の医療水準における標準性を順守し、正確な診断に基づく正しい治療を行うことを常に心がけています。
ですから、以前受けた治療と同じようにすることで、現在の症状が確実に悪化し、体に悪い影響を確実に与えるような場合には、そのような治療は絶対にするべきではないと考えます。
勿論、以前と同じ治療で安全であると考えられる場合は、その選択肢を選ぶ価値はあると思います。
○銀歯の詰め物が取れた。取り敢えず同じ様に治してほしい。
取れた歯が虫歯になっていなければ、概ね可能です。
取れた歯に大きな虫歯があれば概ね不可能です。
この様な状態であることが多く、まあくっつきません。
○歯石取りを一回でやってもらっていた。同じ様にとって欲しい。
歯茎に炎症が無く、歯石も少なければ概ね可能です。
⇑歯茎に炎症は無く、歯石も少ない状態。これなら一回で充分です。
歯茎に炎症が有り、歯石も大量であれば概ね不可能です。(一回でやめることは出来ます。)
⇑歯茎は炎症を起こし、膿が出ています。歯石は歯茎の中までめり込むようについており、このような状態では時間を掛けて治療していく必要があります。1回ではムリ。
○入れ歯が壊れた。前と同じ様に作って欲しい。
設計に問題が無ければおおむね可能です。
設計に問題があり、それが原因で壊れたのならば設計を改善する必要があり、同じものは出来ません。同じ様に咬める入れ歯と言うことなら可能な場合が有ります。
○以前痛かった時に薬を飲んだら治った。同じ薬を出してもらいたい。
口内炎や抜歯の後の痛みならそれでも良いと思います。
虫歯や歯周病は薬で痛みを止める事が出来ます。
しかし、薬で虫歯や歯周病は治りません。根本的な治療が必要です。(痛く無い≠病気ではない)(痛い≠病気)
○根の治療を10~20分でやって欲しい。前はいつもそうだった。
可能な場合もあります。
しかし、現在の根の治療は基本的に時間が掛かります。相当条件が良くない限り、そんな時間で根の治療は不可能です。
⇑治療説明~麻酔~ラバーダム~術野消毒、、、ここまでで15分はかかります。私の仕事が遅いだけかもしれませんが。
治療のコンセンサスが変わっていくのは、医学に研究と進歩が必要とされる限り、未来永劫変わりません。
日本は先進国ですから現在のコンセンサスに基づいた治療を行うのが自然ではないでしょうか。わざわざ医学的コンセンサスを失った古い治療(古い≠ダメ、古くても医学的コンセンサスを失わない治療もあります)を行うのは疑問です。発展途上国でやむなく選ぶ、最低限度の治療を選ばなくても良いのでは?
日本の国民の皆さんは先進国で生活をされています。
発展途上国にお住まいの患者さんと違い、その時代における近代的な治療を受けることが出来ます。
世の中は以前より随分便利になりました。
インターネット、携帯電話、液晶テレビ、お掃除ロボット、など、私たちの周りの様子は年を追うごとに変わってきました。
歯科医学も同じ様に時代とともに歩んでいます。