最近の歯科事情シリーズ part6
2015年8月21日 [金] 09:48| カテゴリー:歯科治療に対する考え , 診療室の毎日| コメント (0)
さいとう・たかお風にタイトルを変えてみました。超C級歯科医師によるテキトーブログ。
テキトーと言うよりカキテー事書いてるだけ?
さて今回は、入れ歯の事情。
歯がなくなったらどうするか。欠損補綴を行います。補綴とは補って綴ると言う意味で、無くなった歯の代用を何らかの方法で補償するものです。
大学の歯学教育では入れ歯、ブリッジを教育します。近年はインプラント補綴もカリキュラムに入ってます。
歯がなくなったら、補綴方法は3つ。入れ歯、ブリッジ、インプラント。
それぞれ一長一短ありますが、今回は入れ歯。
入れ歯と言う方法の最大の特徴は絶対的不適応症が無いと言う事です。どんな症例でも理論上設計可能と言う事です。
しかし、短所もはっきりしており、異物感や出し入れの不便。耐用年数の短さ。結果的に相対的不適応症がかなりあります。
絶対的不適応が無いと言う事は、最後に頼りになります。型どりさえ出来れば製作出来ますから、在宅診療や有病者、時間のない方に向いている方法かもしれません。
相対的不適応は多く、単純に入れ歯は嫌だという方から始まり、若い女性はまず選択しません。異物感や嘔吐感も問題になり易いです。出し入れが面倒であったり、小さな部分入れ歯は入れ忘れ続けることで合わなくなったり。
咬む力も他の方法から比較すると弱くなります。
歯を削らずに製作でき、手術も必要ない方法ですから、迷ったら取り敢えず選択するのも有りでしょう。出し入れできますから継続して他の方法を選択する際に、邪魔になりません。
最近は入れ歯もCADCAMで製作できるようになりましたが(3Dプリンターは不明)、コンサバティブな製作法が大部分です。保険診療では従来通りの方法でないとコストオーバーしますのでまだ無理です。保険診療の義歯の原価率は設計によりけりですが、9割とかは珍しくありません。CADCAM製作はまだ技工料が高く、保健では無理ですし、従来法よりまだ精度不足では有りますが、夢のある製作方法ですね。3Dプリンタ―は歯科領域の最終補綴製作においてはまだ導入に時間がかかると思います。積層法では入れ歯の強度担保が出来ませんし、金属部品の埋入も手作業です。
まあ、CADCAM、3D、ともに将来が楽しみな技術です。
最近は金属のばね(クラスプ)の無いタイプ(ノンクラスプデンチャー)が流行しています。結構コスパの悪い治療方法ですが、ブリッジやインプラントが出来ない方で、ばねが見えるのがいやな方には向いてるかもしれません。若干寿命が短くて、修理がやりずらいのが弱点ですが、割り切って使用する分には良いでしょう。
また、金属製のばねでは無く、樹脂のばねを使用した製品も有ります。これも目立ちませんが、金属より寿命が短いです。やはりそういうものだと割り切って使用して頂く必要が有るでしょう。
基本的な入れ歯の製作方法
1、概形印象 既成トレーで概ねの形を取ります。
2、精密印象 概形印象で作った模型で、個人専用の型どり用トレーを作り、精密な型を取ります。既成トレーでは顎の形が合わない方の場合が多く、制度の確保の為に行います。
3、咬合採得 上下の顎の位置関係を記録します。咬合床と言う簡単な道具を精密な型から起こした模型の上で製作して行います。
4、人工歯排列 人工の歯を使った入れ歯の雛形を製作し、実際に患者さんにあわせてみます。陶歯、レジン歯、硬質レジン歯などが有ります。
5、装着 完成した入れ歯を実際に数日間使用して頂きます。
6、調整 使用感にあわせて微調整
以上で完成となります。
ここに挙げたステップ以外にも色々有るのですが詳しくはWEBで、じゃなくて詳しくは症例にあわせて対応しますので術前に現場でお話します。